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 ヨーロッパ旅行体験記


 「旅のまとめ」

  作曲家のショパンの生誕200年にちなんで、2010年から2014年にかけて3回にわたってヨーロッパのゆかりの4か国を旅してきたことをお伝えしてきました。そこで見たこと、感じたことを率直に述べ、今後の旅やまちづくりなどに参考になればと思います。

 ■各国が「まちの歴史(貴重な自然も)を後世に残すような取り組み」を一層重視。

   今回の旅で、最初の訪問国「チェコ」は、戦火を逃れ、シンボルであるチェコ城をはじめ旧市街地を含む歴史地区がそっくりそのまま当時の様相を現代に伝えることで大きな遺産価値が保たれてきました。この歴史地区は、チェコの国民に強く支持され、世界遺産にも指定され、その結果世界中から多くの観光客がやってきて、国の経済を潤わせています。

一方、隣の国「ポーランド」は、戦火に何回も見舞われ、ワルシャワでは、街なかの由緒ある建物など、古くからの文化遺産のほとんどを失いました。しかし、ポーランド市民は、古くからの自国の文化遺産をはじめ町並みを取り返そうと立ち上がりました。そして、古い地図を探し求めたり、当時その地域に住んでいた人々の記憶をもとに町並みを見事に復元しました。(建物のヒビ割れなども鮮明に復元)

  国の歴史を風化させてはいけないという、国民のプライドと願いが、国の復元につながったもので、ワルシャワの町並みも「世界遺産」に指定され、世界中の人々から「破壊からの復元された都市」として注目されています。

  
  また、同じポーランドの「アウシュビッツ強制収容所」も、世界中の150万の人々を殺戮するという戦争の悲惨さを忘れてはいけないという施設「博物館」としてそのまま残されていて、重要な役目を果たしています。私たちが訪ねた時も、世界中から、戦争の傷跡をこの目で確かめておこうという人たちが見学にやってきていました。特に、若い人たちの姿が目立ちました。

  このように、チェコ、ポーランドは、それぞれ町並みの保存の在り方に違いはあるものの、古い町並みを大事に残していこうという取り組みが進められていることがわかりました。

  この2つの国に加えてフランスやスペインでも見られましたが、これらの4か国では、自動車が増えて交通量が増えているにもかかわらず古からの町並みを守ることを優先して、道路などに手を加えず、町並みをそのままの状態で頑固に利用しているケースが目立ちます。それは、交通を優先して道路をつけてしまうと、自動車の通行には便利にはなりますが、まちの財産である古い町並みが失われ、魅力が失われてしまいます。私たちが旅行をしていて、ここに道路をつければいいのにと感じることがありました。しかし、一度、開発してしまうと元に戻せません。それまでよかった魅力も失ってしまいます。各国々では、不便な場合があっても、「まちの歴史を後世に残そうという取り組み」を重視する方向にあることを強く感じました。

  私は、こうして旅行している間に、たびたび日本のことを考えていました。日本の市町村に残る「歴史的町並みなど歴史文化遺産」について、それぞれの市町村が、持っている貴重な遺産の数がたとえわずかであっても、先人たちが汗水たらして作り上げた歴史を、人間の都合で(合理的な方を優先して)、川や運河をはじめ、道路・建物を建設するなど開発して破壊してはいないかということです。

  最近は、日本にやってくる外国人客をさらに増やそうと、国をあげてキャンペーンが行われています。こうした外国人を優先して、「おもてなし」と称して、新たな開発をし、地元の歴史文化遺産ばかりでなく、自然を破壊する行為が起きないかを心配しています。地元の歴史文化、そして自然は、いったん壊してしまうと元に戻りません。各国の景気が良く観光客が多く来ているうちは、こうした問題に気づきませんが、世界的な景気の落ち込みで経済が変動して、急に海外からの観光客が減ってしまった時に大きな財産を失ったことに気づいても後の祭りになってしまいます。そのような後悔をしないためには、自然に対する保護と利用の在り方を、その場限りで決めるのではなく、前もってしっかりときめておくことが大事になります。
 農業も同じことが言えます。売れている作物を作り続けているうちに、急に物が売れなくなったり、畑の荒廃で作物の収穫が上がらなくなることがあります。農業振興のため、地元の農産物が海外に輸出されることは、好ましいことですがそれにもまして、地元に多くの人々に来てもらって、おいしものをたくさん食べてもらう工夫をすることの方が今早急に求められていのではないでしょうか。先々のことを考え、その考えに沿って物事を進めていくことが、地域の活性化につながり、農業も守られることになります。 
  外国人を迎えるために、新たな開発など特別なことをするのではなく、今ある遺産を守りながら、観光に携わる日本の観光関係者が、各国によって違う習慣・ニーズ・食事などをきめ細かくキャッチし、さらに日本の習慣も覚えてもらう工夫をして、外国人客を迎えるようにしてほしいものです。


 
外国人客を迎える体制は十分かどうか?

  ①「ことば」とインフォーメーションセンターの充実
  
  今回訪問のヨーロッパ4か国では、インフォーメーションセンターをはじめ、鉄道やバスの切符売場、ホテル、デパート 、飲食店などはいずれも英語での対応がほぼ満足できる状態であった。ローカル駅でも、ある程度対応してもらえました。
  
  しかし、道路や駅構内の標識は各国のことばを使用している例が多く、英語などの標記は少なく、このあたりに不便さを感じました。また、通行人に英語で尋ねても、言葉が通じないことが多々あり(フランス・ポーランドなど)、結局インフォーメーションセンターに聞くという形になりました。

  添乗員が付いた団体旅行ですと、語学をほとんど使用しなくても大丈夫ですがヨーロッパには、日本語で対応をしているインフォーメーションセンターはほとんどありません。このため、1人で旅行するとなると、ある程度語学の知識が必要になって来るのと、早めにインフォーメーションセンターに駆け込み確認することが大事になって来ることを強く感じました。一方で、一人旅という冒険も各国の生活習慣などをよく知ることができ、楽しい思い出として心に残るばかりでなく、これからのチャレンジに力を与えてくれます。

  日本についてみますと、羽田空港のインフォーメーションセンターでは、ほとんどの国のことばに対応するサービスをしています。このため一人旅の人も、その利用者の多くは恩恵を受けていると思います。
  今後、地方への観光客を増やす方法として、SNSを使った魅力PRばかりでなく、やってきた人と直接触れ合う地域のインフォーメーションセンターの充実も急がれているといえます。

  ②「ことば」について日本では・・・

   日本にやって来る外国人を迎えるため、日本のホテルや交通機関などでは、英語など語学ができる担当者を配置して対応するところがかなり増えてきましたが、まだまだ十分な対応ができているとは限りません。日本には、中国をはじめ最近は東南アジアからの観光客も多く、こちらの人々の対応もしなければなりません。

  当面、早急にやらなければならないこととして、語学の中でも英語ができ、しかも日本の観光について知識を持った人をもっともっと養成する必要があります。また、外国人客の応対にあたる人は、各国の生活習慣などの知識も身につけた人でなければなりません。海外旅行を経験するなど豊富な知識が必要になります。それが、旅行者の安心安全につながっていきます。合わせてIT技術を活かし、各国語に対応した「観光情報アプリ」の高度的開発と活用も効果が期待されています。

  ③免税手続き拡大を・・・

   今回の旅行では、買い物をしようとした際、今回訪問した国の土産品店などで免税手続きができないお店がいくつかありました。この店は日本の旅行雑誌にも紹介されていたものです。手続きができるとできないとでは、負担の度合いが大きく違うこともあり、手続きができるよう拡大してほしいということを強く感じました。日本でも、免税手続きは、拡大の方向にありますので、観光客のためにも是非とも拡大してほしいものです。
(完)